裁判の真相がマスコミの話題になっています。
22年3月11日 NEWS
3月8日(火曜日)SlowNewsの「調査報道+」の記事で、愛知製鋼の裁判攻撃の真相が「世界が驚く次世代磁気センサーを発明 特許400件のベンチャー経営者はなぜ法廷に立たされたのか」との記事の中で明らかにされています。是非ご一読ください。記者は宮﨑 知己氏
【調査報道+】 ベンチャーを立ち上げ、電気自動車の制御や生体磁気などの測定精度を引き上げる次世代センサーを発明し特許を取った経営者。古巣のトヨタ系メーカーから「営業秘密を開示された」と告訴されてしまう。しかし特許をめぐる審決では「超伝導現象の発見」に匹敵と高評価され、特許を維持。学術界も盛り上がるが、刑事裁判で有罪となれば発明はどうなる?そもそも知的財産高等裁判所があるのに刑事告訴という戦術は公正な競争なのか。注目されなかった5年に及ぶ裁判をウオッチした記者が日本に技術革新が起きない象徴的事件の裏側に迫る。
記事の詳細は、SlowNewsを見ていただくとして、記事に関する私の感想を紹介します。
私の研究経歴について、
本記事では、最初に裁判で私が証言した経歴に基づいて、書かれています。鉄につかない非磁性ステンレス鋼の開発、その磁性を測定する透磁率計の開発、および真逆の鉄につきやすい磁性ステンレス鋼の開発について、エピソードを交えて興味深く紹介しています。開発当時、VTRの非磁性マイクロシャフトの小型化や排ガス対策用の燃料噴射弁の迅速な開閉を可能にする問題などを解決したこと。さらにこれらの新材料を組み合わせて世界で初めてデンタル磁石を開発して、NHKに報道されるなど、私が磁性材料分野で注目される成果を上げたことをまず紹介しています。中国でしか生産しないレアアース(ジスプロシウム元素)を含まないネオジム磁石を開発し、山崎貞一賞を受賞したことや、透磁率計の開発経験を基礎に、容易にMIセンサを開発したことを紹介し、磁性材料分野での功績を紹介しています。なお記事にはありませんが、私はこれらの功績で2013年から2017年まで日本磁気学会の副会長を務めていました。
裁判の背景としては、
私が次世代MIセンサ(開発過程でGSRセンサの発明につながった)の開発に取り組む過程で、①12年、愛知製鋼のMIセンサがコストと機能の点で壁に直面し、その対策をめぐって社内対立があり専務を退任させられたこと、②13年、私は次世代MIセンサの開発を開始して、愛知製鋼側は、工場を閉鎖してローム社に事業委託してライセンス料をいただくことにしたこと、③全社的な対本蔵危機管理組織を結成して私の開発を警戒していたこと、④私の動きについては、私の開発プランを記したJST補助金申請書と未公開特許を不正に入手して、本蔵は愛知製鋼の技術を盗用して開発を進めていると誹謗中傷をしていたこと、⑤15年、私がGSR原理を発見して以降は、危機感を抱いて、2回の刑事告訴、本蔵の製造特許の譲渡処分禁止、GSRセンサ原理特許の無効審判とベンチャー企業の財産仮差し押さえの強硬策に打って出たことを紹介し、「どちらが不正競争に手を染めていたのかを疑ってしまう」と締めくくっています。
裁判の意味については、
「社長逮捕、財産差し押さえで倒産回避は奇跡的」と指摘した上での、愛知製鋼の裁判戦術に対する批判は、私は司法について素人ですが、的確な批判だと思います。
以下のように問題提起を行って本記事は締めくくられています。
「営業秘密を侵害された時、刑事告訴して捜査当局に証拠を収集させて、その証拠を使って民事訴訟(損害賠償)に利用する」という裁判戦術を採用しているが、営業秘密が特定されず5年も争うような事件にこの戦術を使用することは問題である。というのは、社長が逮捕拘留され、財産の差し押さえを受けると、通常倒産してしまい、裁判すら維持することができなくなる。その結果、真相が闇の中に埋もれてしまうかも知れない。
本記事は事件を理解する上で、熟読すべき記事だと思います。
文責:本蔵義信

