刑事裁判記者説明会 井上弁護士からの刑事裁判の説明と質疑応答の結果

22年3月01日 NEWS

刑事裁判の審理内容や問題点等について、司法記者クラブ所属記者等に対して弁護団の見解を説明しました。当社本蔵・菊地も参加し、会場の記者からも熱心に話を聞いていただき、本蔵らからも記者の質問に答えました。
この説明会をとおして、記者の方々には本裁判の異常さや秘密漏洩事件そのものが疑わしいことを改めて認識頂き、無罪になるかもしれないとの感想を持って頂けたと思っています。

取材会にて弁護士から説明した本裁判のポイントを、①から⑫にまとめて以下に示します。
① 装置の図面など「物」として特定できるものが「営業秘密」で漏洩されたという通常の裁判と異なり、本蔵氏が記憶した情報をホワイトボード(WB)と口頭で説明したことが営業秘密の漏洩だと検察官が主張した事件で、漏洩されたと主張された営業秘密が、そもそも愛知製鋼が保有する技術情報であるのかが、極めて疑わしいこと。

② 検察官は、装置の工程情報が営業秘密だと主張しながら、愛知製鋼が保管する装置の工程情報が読み取れるシーケンスラダー図等の客観的な証拠物が存在するにもかかわらず、そうした客観的な証拠の提出を拒み、装置の工程情報の内容を同社従業員(証人)の証言で立証するとして裁判を強行したこと。

③ ②の証人尋問の結果明らかとなったことは、愛知製鋼の装置の工程は検察官が営業秘密だと主張するようなものではなく、しかも、愛知製鋼の従業員間においても、何が愛知製鋼の装置の真の秘密なのか、ということについて見解が食い違っていたこと。

④ 検察官は営業秘密だと主張する装置の工程情報が愛知製鋼内のQC工程表、作業標準書などの生産技術書類によって秘密管理されていたと主張したが、そこには検察官が主張する工程情報は一切記載されていなかったこと。

⑤ 事件当日にWBでの議論に立ち会った3名全員の供述から、WBに記載された情報が愛知製鋼の独自の技術情報ではないことが明らかになり、さらに、愛知製鋼の従業員でさえ、WB には愛知製鋼の独自の技術情報の記載が一切ないことを証言で認めたこと。

⑥ 捜査機関の捜査の経過を見ても、検察官は第一次告訴(ワイヤ整列装置の秘密治具が営業秘密だと主張した事件)での起訴を断念した後、第二次告訴(WBの愛知製鋼のワイヤ挿入装置の機能と構造が営業秘密だと主張した事件)についても、起訴時点でその立証が破綻、公判に入って初めてワイヤ挿入装置の工程情報が営業秘密だとの主張に変更する等、警察官や検察官が主張する犯罪事実が二転三転しており、警察官、検察官の捜査があまりにも杜撰であったこと。特に検察官は、問題とされた、愛知製鋼が装置の特許出願をした事実すら把握していないなど、必要な証拠収集・捜査を全く行っていないことが明らかとなった。

⑦ そもそも本蔵は、MIセンサとは別の技術であるGSRセンサの開発に取り組んでいたのであり、愛知製鋼のMIセンサ技術やそのために必要な装置の情報など全く必要としていなかった。愛知製鋼は、「GSRセンサは、MIセンサの模造品で、同社から技術を盗用して試作したものだ」と主張していたが、GSRセンサ特許無効審判において、GSRセンサはMIセンサに対して進歩性を有するものであるとの審決がなされており、この審決を愛知製鋼も受け入れざるを得なかった。また装置についても、マグネ社の装置に関する特許は、愛知製鋼の技術を盗んだものだ(冒認出願だ)として申し立てた裁判についても自ら取り下げてその主張を撤回している。実際にWBに記載された装置は、愛知製鋼の装置とは、その機能も構造も工程も全く異なるものであった。愛知製鋼のものはMI特性を実現するためにワイヤに弾性限界以上の張力を負荷しない装置であるが、マグネ社のものは弾性限界以上の張力を負荷して、その張力を使って張力熱処理をしてGSR特性を実現する装置である。両者は技術思想が真逆のものであり、マグネ社の装置を作製するうえで愛知製鋼の装置が参考になる余地はなかった。実際に装置を作製した装置メーカー設計者も、他社の装置を参考にした事実はない、完全なオリジナルだと証言した。

⑧ 検察は、菊池自白調書だけを頼りに立証を試みているが、その内容はWBの記載をはじめとした客観的な証拠や、他の証人の証言と著しく食い違っており、全く信用できるものではない。また脅迫によって誘導自白させられたもので証拠には値しない。さらに、菊池氏は当時愛知製鋼の常務であった浅野氏らに業務報告しながら本業務に必要な範囲で秘密を開示しており、会社に内緒にしたり、本蔵氏からの指示で行ったりした事実はないことを証拠で明らかにした。検察はこの点についても証拠を上げて反論しておらず、反対尋問権の放棄という異常な事態になっている。

⑨ 愛知製鋼は、第一次刑事告訴、第二次刑事告訴以外にも、13年から本蔵氏はMI技術を盗用(4件の特許を出願)した犯罪者だとして、浅野常務を本部長にした対本蔵危機管理組織を結成し系統的にマグネ社の開発を妨害していたこと、それにも拘わらず、本蔵氏がGSR原理を発見しNHKなどで紹介される事態になって17年以降、刑事裁判を含む一連の裁判攻撃を開始した。ワイヤ整列装置特許裁判と仮処分、GSRセンサ特許つぶし裁判、損害賠償裁判とマグネ社と本蔵の現金や株式の仮差押え(つまり兵糧攻め)。
この攻撃を受けてマグネ社は倒産寸前に陥った。もしマグネ社が倒産しておれば、マグネ社は5年間もの間、一連の裁判攻撃に対抗できず、GSR技術は愛知製鋼に奪い去られたことは間違いない。(井上弁護士の当日の説明)

⑩ 愛知製鋼が申し立てたGSRセンサ特許無効審判において、特許庁審判官は審決において、愛知製鋼に対し、“技術的に非常識な意見を堂々と主張しており遺憾である”と叱責しており、「GSRセンサはMIセンサの模造品」だとの愛知製鋼の見解が理由のないものであることを指摘した。
この愛知製鋼の見解こそ、本蔵がMI技術を盗用したという事件の根本であり、この見解の誤りが明白になり、愛知製鋼の主張の根本がすでに瓦解した以上、同社の主張の全てが作り話であったとの疑惑が生じる。つまり事件の捏造である。

⑪ こうした事件の経過をみれば、愛知製鋼の一連の裁判攻撃の意味とは、マグネ社が愛知製鋼のMI技術を盗用したという根拠のない主張を振りかざして、愛知製鋼がマグネ社のGSR技術を奪い取らんとする試みであり、別の言葉を使えば、大企業が資金力にものを言わせて、技術常識に反する裁判を提訴することで、ベンチャー企業の最先端技術を奪わんとする試みである。

⑫ その他にも、本裁判では愛知製鋼は、犯罪被害者保護法を利用して「被害者」として裁判記録の閲覧・謄写もしている。その記録の中には、マグネ社の営業秘密に相当する機密資料だけでなく、他の装置メーカーや大手企業の企業内情報も含まれていた。果たして、こうした刑事裁判を利用した他者の営業秘密取得行為が許されていいのだろうか。この裁判は、さらに深刻な問題を孕んでいる。

追記:
最近愛知製鋼が、MIセンサもGHzパルスを採用すると感度が向上し、MIセンサの原理、つまり20MHzパルスで最適値をとり、GHzパルスでは大幅に感度が低下するという原理とは異なる主張をして、実際にGHzパルス回路を可能にするASIC(集積回路)を製作して新聞発表した。発表内容の詳細は定かでないが、GHzパルスを基礎にした磁気センサはGSRセンサを意味し、愛知製鋼がGSRセンサの模造品を試作し、それをMIセンサと詐称している疑いがある。愛知製鋼が異常で、マグネ社のGSR特許つぶし攻撃をする理由は、GSRセンサ模造品がGSRセンサ特許に侵害するかもしれないと恐れているためかもしれない。