虚偽告訴事件、検察審査会が「不起訴は不当」と議決

23年6月28日 NEWS

検察審査会による不起訴不当の議決を受けての代理人コメント

2023年6月28日
申立人本蔵義信、同菊池永喜代理人
弁護士 井上健人、同久志本修一、同佐久間信司

 

昨年5月、本蔵氏及び菊池氏は、愛知製鋼の元役員ら3名を被告訴人として、同年3月に無罪判決が言い渡された刑事事件(営業秘密不正開示)に関する事件を含めた愛知製鋼による告訴が虚偽告訴にあたるとして、名古屋地方検察庁に告訴をしていましたが、本年3月29日、名古屋地方検察庁の検察官は、いずれの被疑者についても不起訴処分としていました。これに対し、本蔵氏及び菊池氏は、検察審査会に審査の申立てをしていたところ、当月21日、名古屋第一検察審査会は「検察官の不起訴処分を不当とする」との議決をしました。

本議決の最も重要なポイントは、被疑者である愛知製鋼の元役員らが、同社による告訴が虚偽である(=営業秘密の侵害はなかった)ということを認識していた可能性も十分ある、と指摘していることです。その理由として、議決の要旨は、愛知製鋼は本蔵氏らを告訴するにあたり、社内において、愛知製鋼の技術情報、本蔵氏らが経営するマグネデザインの技術情報及び公知情報という3つの技術情報に関する専門的な比較検討を行った形跡を認めることができないと指摘しています。このことは、刑事裁判や現在係属している民事訴訟で本蔵氏らが再三に亘り主張していることです。2つの技術情報が同じ情報か否かを判断するにあたり、共通する部分だけを抜き出して「同じ技術だ」と主張することには何の意味もありません。両情報の共通点と差異点を抽出し、公知情報(汎用技術)も踏まえつつそれらの技術的意義や経済的価値について専門的な知見から検討を加えたうえで、両情報が同じか否かを判断する必要があるということは、知的財産分野の専門家のみならず、現場の技術者からしても当然のことです。今回の議決は、被疑者らがこうした常識的な手続きをあえて(意識的に)踏まずに本蔵氏らに刑事処分を受けさせる目的を持って虚偽の告訴をなした可能性が十分あると指摘するもので、常識的かつ良識的な判断をしていただいたと考えています。

さらに、本決議は、本蔵氏らの告訴を受けて捜査をした検察官の対応についても疑問を呈しています。告訴受理から約10か月も経過した時点で処分していることへの違和感、さらに、検察官は、刑事裁判では本蔵氏らと対立関係にあった反面、愛知製鋼とは協力関係にあったもので、検察官の今回の告訴に対する対応は市民感覚として納得しがたい、としている点は、常識的な市民感覚であると思います。

最後に、今回の検察審査会による不起訴不当の議決は、市民の良識を刑事手続きに反映させるという検察審査会の目的を体現したものです。検察官においては、今回の検察審査会の議決を重く受け止めて本件には市民から重大な関心が寄せられていることを自覚し、二度と誤った起訴を繰り返してはならないという意味でも、議決が述べるように本件に関する紛争の遠因も含めて徹底的な真相の究明を行っていただくことを強く望みます。

以上

添付資料1:検察審査会 議決の要旨