引き続き、菊池被告人の証言
21年9月13日 NEWS
FA電子に依頼したワイヤ整列装置や磁石治具の送付は愛知製鋼の業務一環だった。秘密漏洩とは関係ないと供述。
菊池氏は、前回事件当時までの経緯を証言した。今回は事件以降について供述した。西畑氏の協力を得て小型化素子(ワイヤ1本)、Apple向け素子(ワイヤ2本)、アレイセンサ素子(ワイヤ3本)などの3つの新型素子試作を推進していた。菊池氏がFA電子に対して依頼したワイヤ張り試験装置は、これらの3つのタイプの試作のために必要な試作機で、同氏は、第3生産技術部長という責任者の立場で、手配を急でいた。5月9日、試作機の手配と並行して、素子の図面、試作に必要なマスク金型の手配、および試作用磁石式治具の準備も始めていた。これらの一連の業務からみても、菊池氏の行為は愛知製鋼の業務であったことは明らかであると供述した。
警察は、これらの菊池氏の行動が、愛知製鋼には内緒にして本蔵氏の指示で秘密漏洩をしていたと主張しているが、菊池は事件4月9日以降の数多くの新証拠で愛知製鋼の業務として行っていたことを明らかにした。以下新事実のいくつかを列挙する。
新事実①;菊池氏は、試作機の手配は本蔵技監の退職が決まり、愛知製鋼向けと本蔵向けの2台を発注しようとした新証拠が、本蔵氏との打合せで、FAの装置はFA保有の技術で製作するものだから、本蔵氏が購入して、それを利用させてもらうということにして、あえて愛知製鋼が購入する必要が無いと判断したことを明らかにした。
新事実②;菊池氏は、愛知製鋼の技術員である西畑・伊藤氏の両名と、3つの新型素子の図面作製や試作および、そのために必要な試作機の製作依頼をしていたことを示す新証拠で、それらの業務は愛知製鋼の業務として取り組んでいたことを裏付けた。
新事実③;菊池氏は、FA装置を借用するために必要な愛知製鋼特有の磁石治具の製作に取り組んでいた。その治具をFA装置の取り付け方についてFAと相談したところ、FAから愛知製鋼の量産用磁石治具を参考にしたいとの要望があった。愛知製鋼の業務上必要と判断して、そのままでは利用することはできない治具だと説明した上で、菊池氏は秘密管理者としての責任で、送付・秘密開示したことを数多くのメールで明らかにした。
続いて、弁護団は、菊池氏の供述を基に菊池氏の自白調書について、愛知製鋼の業務として取り組んでいた事実が、本蔵氏と共謀して愛知製鋼の秘密を盗み出した一連の犯行だと捻じ曲げられたものであることを明らかにした。菊池氏は、本人の意思とは異なる調書であると証言した。
菊池氏は、警察の取り調べの際に、愛知製鋼の業務として行っていただけだと、真実を供述し続けた。しかし、警察は、本蔵と共謀しての秘密漏洩だと、警察のストーリを押し付けることに終始し、押し問答が続いた。しかし、警察から、食い違いのたびに、関係者が君と違う事実を証言していると説得し、自分の記憶違いかもしれないと記憶操作されていったと証言した。裁判後、関係者から新事実を聞かされ、警察に騙されたことが分かり憤慨していると供述した。
さらに菊池氏は、押し問答の際に、「認めないと留置所から出られないぞ」と脅迫され、他方「認めれば即釈放で、罰金程度で済む話だぞ」と言われた。それで、この人たちではらちが明かないと思い、裁判で真実を明らかにすれば済むと思い、警察の用意した自白調書にサインすることにしたと、供述した。
最後に、菊池氏は警察の捜査の杜撰さに問題があると指摘して、証言を締めくくった。

